小売企業の場合、1店舗1店舗の利益が積み重なって、会社全体の利益になっています。
売上だけでなく、利益(黒字か赤字か)を把握することはとても重要です。
そこで今回は、損益計算書、英語で言うとProfit&Loss(P&L)で使われる用語を見てみます。
難しそうに聞こえますが、構成要素に分解していくと単純ですよ!
まずは店舗のP&L(損益計算書)の例を見てみよう
早速例を見てみましょう。
(例)銀座店の2019年の収支
※(JPY MM)は(百万円)の意味です。
(JPY MM) | % | |
---|---|---|
Sales | 200 | 100% |
COGS | 40 | 20% |
GM | 160 | 80% |
Rent/Commission | 40 | 20% |
Compensation | 40 | 20% |
Depreciation | 10 | 5% |
Others | 10 | 5% |
OI | 60 | 30% |
こんな感じで、売上と費用が示してあります。
英語だとよくわかりませんよね。次項で解説していきます。
それぞれの用語を解説
原価(COGS)と粗利(GM)
小売店の場合、当たり前ですが商品を売っています。
商品を作る、または仕入れる費用が「原価」として必要になります。
「原価」は英語でCost of Goods Sold、略してCOGSと言います。(コグスと読みます)
また、売上(Sales)から原価(COGS)を引いた金額が「粗利」です。
「粗利」は英語でGross Margin、略してGMと言います。
販管費(SG&A)と営業利益(OI)
商品原価以外にも、店舗を運営する費用が必要になります。
この店舗運営にかかる費用をまとめて「販管費」と言います。
「販管費」は英語で Selling, General and Administrative Expenses、略してSG&Aと言います。
また、粗利(GM)から販管費(SG&A)を引いた金額が「営業利益」です。
「営業利益」は英語でOperation Income、略してOIと言います。
企業によっては4wallという場合もあります。(フォーウォールと読みます)
なお販管費(SG&A)には、主に以下のような費用が含まれます。
賃料(Rent/Commission)
店舗を運営する場合、大家さんに賃料を払わなければなりません。
ちなみに大家さんのことをLandlord(ランドロード)、略してLLと言います。
賃料のことを英語でRentと言います。
これは路面店やファッションビル、アウトレットモールなど、定期借家契約の店舗に当てはまります。
百貨店の場合は、消化仕入契約になるためCommissionと言います。
なお賃料の他に、「共益費」と言われる費用がかかる場合があります。マンションの管理費のようなものです。
「共益費」は英語でCommon Area Maintenance Fee (CAM)や、Common Service Feeなどと言います。
人件費(Compensation)
通常の店舗の場合、販売スタッフがいますから、人件費がかかります。
人件費のことを英語で「Compensation」と言います。
減価償却費(Depreciation)
店舗をつくるのには多額の費用がかかります。
かかった費用は、一定の期間(数年)で減価償却していくため、店舗のPLに登場してきます。
「減価償却費」は英語でDepreciationと言います。
その他の費用
大きなコストは上に記載したものですが、その他こまごまとしたコストがかかってきます。
代表的なものは光熱費です。
「光熱費」は英語でUtilitiesと言います。
営業利益(OI)の目安はあるのか?
これまで、店舗運営にどんなコストがかかっているかを見てきました。
では最終的に出てくる営業利益(OIまたは4wall)ですが、いくらくらいだったら良いでしょうか?
0%未満、つまり赤字だったら困りますよね。
しかし多くのブランドは、赤字の店舗を抱えています。
特に多いのは路面店です。
銀座や表参道など、賃料の高い土地に瀟洒な店舗をかまえれば、赤字になることが多いものです。
しかし路面店は広告塔、マーケティング、ブランディングの役割もあるため、甘んじて受け入れているのです。
そういった特殊な店舗でない限り、ファッションブランドの営業利益の目安は20-30%程度が最低ラインでしょう。
実際に企業全体のPLを見ると本社コストも乗っかってきます。
それらを支えられる売上を店舗で出していくことが必要になります。
売上だけでなく利益もチェックし、投資対効果の高い店舗をつくることが重要です。
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